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おいしいもの、きれいなもの、すてきな本が大好き。長野県から発信する、グルメ×本×写真のブログです。YOUR COMMENTS ARE WELCOME!!


by bedlam041

「私はうつ」と言いたがる人たち / 香山 リカ

「私はうつ」と言いたがる人たち (PHP新書)

香山 リカ / PHP研究所



――ある日の診察室
「私うつ病みたいです。休職したいので、診断書ください!」

この思い込みにまわりは迷惑、ほんとうに苦しんでいる人が泣いている。
仕事を休んでリハビリがてらに海外旅行や転職活動に励む「うつ病セレブ」、
その穴埋めで必死に働きつづけて心の病になった「うつ病難民」。
格差はうつ病にもおよんでいる。
安易に診断書が出され、腫れ物に触るかのように右往左往する会社に、
同僚たちはシラケぎみ。
はたして本人にとっても、この風潮は望ましいことなのか?

新しいタイプのうつ病が広がるなか、ほんとうに苦しんでいる患者には
理解や援助の手が行き渡らず、一方でうつ病と言えばなんでも許される社会。
その不自然な構造と心理を読み解く。





香山さんの本はちょっと通俗的な感じがして今まであまり積極的に
目を通すことはなかったのですが、これは立ち読みしておもしろかったので買い。


うつ病患者のセーフティネットとなるべき精神科医が、

「その病気、ほんとに病気ですか?」

と問いかける挑戦的な本です。
労働者の立場が弱く、ワンマン経営者がいる中小企業の社長がこの本を見て、
鬼の首を取ったかのように

「ほら!お前どうせうつ病セレブなんだろう?」

となる可能性も無きにしも非ずで、非常にデリケートな扱いが必要な本だと思います。
なのであまり個人的な見解は述べたくはないのですが…
確かに、そういう人も、いる。とだけ言っておきたいと思います。
良くも悪くもそこまで特別な扱いが必要ではないんだな、とも。
(当方、うつ病セレブもうつ病難民も両方見てきています。
 mixiとかで、うつ病をカードとしてちらつかせる人も、何回も。)

うつ病ってなんなの?何でこの人がうつ病なの?

って一度でも感じたことがある人は、読むときっと腑に落ちることがあると思います。
…まぁ、腑に落ちたところで何かできるわけではないんですけどね…。
by bedlam041 | 2009-08-31 22:38 | Book