人気ブログランキング | 話題のタグを見る

おいしいもの、きれいなもの、すてきな本が大好き。長野県から発信する、グルメ×本×写真のブログです。YOUR COMMENTS ARE WELCOME!!


by bedlam041

抱擁、あるいはライスに塩を / 江國香織

抱擁、あるいはライスには塩を

江國 香織 / 集英社


東京・神谷町にある、大正期に建築された洋館に暮らす柳島家。1981年、次女の陸子は貿易商の祖父、ロシア革命の亡命貴族である祖母、変わり者の両親と叔父叔母、姉兄弟(うち2人は父か母が違う)の10人で、世間ばなれしつつも充実した毎日を過ごしていた。柳島家では「子供は大学入学まで自宅学習」という方針だったが、父の愛人(弟の母親)の提案で、陸子は兄、弟と一緒に小学校に入学。学校に馴染めず、三ヶ月もたたずに退学する。陸子は解放されたことに安堵しつつ、小さな敗北感をおぼえる。そもそも独特の価値観と美意識を持つ柳島家の面々は世間に飛び出しては、気高く敗北する歴史を繰り返してきた。母、菊乃には23歳で家出し8年後に帰ってきた過去が、叔母の百合にも嫁ぎ先から実家に連れ戻された過去がある。時代、場所、語り手をかえて重層的に綴られる、一見、「幸福な家族」の物語。しかし、隠れていた過去が、語り手の視点を通して多様な形で垣間見え――。



久しぶりに江國さんの長編小説です。
風変わりな柳島家の構成員(血縁を考えるとこの表現がしっくり来ると思う...)が紡ぐ、
様々な時代や場所のストーリー。

淡々と語られるので、衝撃的な出来事があってもあまりショックを感じず。
『冷静と情熱の間』のような浮世離れした世界観でした。
浮世離れしてるんだけど、もちろん構成員は歳もとるし、老化現象は起きるし...
最後には登場人物と一緒にジットリと老いた気分になりました。
夢中になってページをめくるわけではなく、あとからジワジワ来て
もう一度読みたくなるなー、と思わせる壮大な小説です。
by bedlam041 | 2012-01-09 20:34 | Book